株式市況
 





CME日経平均のチャート
  足もとでは売買高が低調に推移しています。 先週は20億株を割り込む状態が続き、28日は16億株と約1か月ぶりの低水準となりました。 売買代金も3兆円を割り込む展開が続いています。 国内では特段の買い材料がないということや、本日(7/2)発表の6月の日銀短観を見極めたいとする向きが多く、売買高が低調になりましたとみられます。6月の日銀短観はおおむね市場予想と一致しましたことから、影響は限定的であるとみられ、当面は売買高、売買代金ともに低調に推移する可能性が高いです。積極的な売買がなされるには4〜6月期の決算発表を待つ必要があります。  米国株式相場は、上値の重い展開を予想します。6月の製造業・非製造業ISM指数(7/2、5)では企業部門の堅調さが示される見込みであり、相場の好材料となりましょう。しかし、長期金利に上昇圧力がかかりやすいこと、原油価格が高値推移しているなどの悪材料が、株価の上値を抑制しましょう。週末に発表される6月の雇用統計(7/6)では、非農業部門雇用者数の増加幅は低めの伸びが予想されます。 株式市場で景気減速懸念が高まれば、一段安の展開も予想されます。

  今週の国内株式相場は、もみ合う展開を予想します。6月調査の日銀短観(7/2)は、大企業・製造業の業況判断指数(DI)は+23、大企業・非製造業の業況判断DI(ディフュージョン・インデックス)は+22といずれも前回3月実績から横ばいとなり、市場の予想と一致しました。 株式市場では特段のサプライズはなく、影響は限定的でありましょう。 為替相場では米製造業ISM(全米供給管理協会)指数(7/2)などで企業部門の底堅さが示される見込みであり、ドルの買い材料となりましょう。ドルの底堅さは続く見込みであり、輸出関連企業を中心に相場の追い風です。 しかし、このところ海外投資家の売り越し観測が続いている(買い越し観測となっても買い越し幅は小幅にとどまっています)。また、売買高は低調に推移しており、相場の勢いが鈍化していますとみられます。 4〜6月期の決算発表が始まるまで、当面は方向感の出がたい展開が続きそうです。

NYダウとナスダックの動き
NYダウ ナスダック
 米国株式相場は、弱含みの展開となりました。大手金融機関傘下のヘッジファンド損失問題を受けて、サブプライムローン問題が再燃したことが要因です。 5月の新築住宅販売件数(6/26)で4月分が大幅に下方修正されていることなどを背景に、住宅市場に対する懸念が次第に高まっていきました。 高値圏で推移している原油価格も嫌気され、金融を中心に幅広い業種で相場は下落しました。オラクルが市場予想を上回る決算を発表(6/26)しましたことを背景に、ハイテク関連株が先導し値を戻す場面がみられましたが、利益確定売りなどが株価の上値を抑制しました。  先週の国内株式相場は、いったん下落しました後上昇しました。米国株式相場の下落や為替相場の円高などを背景に、幅広い銘柄に売りがでた。寄付き前の外資系証券経由の注文状況で、海外投資家の売り越し観測が続いていることも、相場の重しとなりました。 日経平均株価は、先週の相場急上昇でできましたチャート上の「窓」を埋める形で下落し、8営業日ぶりに18,000円を割り込みました。その後は、米国株式相場の反発や為替相場の円安などが好感され、自動車や電機など輸出関連株を中心に株価は徐々に値を戻しました。 週末には日経平均株価は5営業日ぶりに18,100円台を回復しています。

 FRはこれまで、米高級婦人服店「セオリー」に資本参加しましたのを皮切りに、仏婦人服ブランド「コントワー・デ・コトニエ」、国内婦人服店「キャビン」などを相次ぎ買収しました。 買収総額は600億円程度だが、柳井正会長兼社長は「1件で3000億〜4000億円規模の買収もありです」と、大型買収に乗り出す姿勢を示していました。  FRは、低価格で高品質なユニクロを成功させ急成長しました。しかし、売上高を現在の約2倍の1兆円まで引き上げるには、ユニクロ以外のブランドを育成し、より幅広いアパレル分野に対応するほか、海外店舗網の拡大が不可欠です。 このためFRは昨年、ユニクロより更に低価格商品をそろえました「ジーユー」の展開を開始し、海外では、ニューヨークや中国・上海にユニクロの大型店を開業するなど、攻勢を強めています。 更にM&A(合併・買収)も積極化する方針です。  日本でバーニーズを展開する権利は住友商事などの子会社が持っており、今回の買収提案とは無関係ですが、両社が今後連携する余地もあります。

  FRのユニクロは現在米国内に4店あるのみで、高いブランド力を持つバーニーズを買収できれば、一気に米国での事業基盤を拡大できます。 存在感を高めることで「ユニクロ」の出店の加速も見込まれます。将来的にはFRのネットワークを生かし、バーニーズの店舗や衣料品を、欧州やアジアで展開することも可能です。  バーニーズは全米で34店を展開。親会社のジョーンズ・アパレル・グループは6月22日に、バーニーズの全株をアラブ首長国連邦政府が出資する投資ファンドに約1000億円で売却すことで合意しましたが、7月22日まで第三者からの買収提案も受け付けていました。

  カジュアル衣料店の「ユニクロ」を展開してきましたファーストリテイリング(FR)が、米高級衣料専門店バーニーズ・ニューヨークの買収に約1100億円を提示し、海外での本格的な大型買収に乗り出しました。 「2010年に連結売上高1兆円」を目標に掲げるFRにとって、世界的な知名度のあるバーニーズの買収は、課題の「ブランド高級化」と「海外展開」をいっぺんに実現する絶好の機会です。今後の交渉の行方に注目が集まっています。

copyright (C) 2007 cme-nikkei.com all rights reserved.